2011/02/10

TSUTAYAとミルクティーとワンピース。

私は休みだった。
詳しく言うと二連休だった。

一日目。
起きてベットを降り、足下に散らかった物をよけながら座る。散らかった物の中に借りていたDVD。それを手に取り少し眺めたあと、観る決意をする。よし、見てしまおう。

こうして始まった私の休日。とりあえず一日中部屋に居た。幼児並にお昼寝というものをした。もちろんそれ以外の時間は全てDVD鑑賞に費やした。

口にしたのは体内浄化されるぐらいの水。きっと浄化はされていないだろう。きっと。そんな簡単に毒は抜けないものだ。

気付くと一日目が残すところ30分に迫っていた。焦った。焦った私の体は車に乗っていて、気付けば日付が変わった頃TSUTAYAの邦画コーナーに立って居た。手には返却するTSUTAYAの下げ袋。あ、返却に来たのか、とフラフラ店内を歩き回った。決してTSUTAYAリトルラブを狙ったのではない。要は暇だったのだ。他の何でも無い。

気付くと手には5本のDVD。全て邦画だ。それもそのはず、邦画コーナーとお笑いコーナーにしか行っていないのだから。フラフラ歩いた割には、その辺しか歩いていなかったらしい。なんて無駄な、そう思いながらも一時間は居ただろうか。

気付くとレジカウンター。「600円です」やる気の無い店員の声。「はい」私は格好つけてポーターのコインケースをポケットから取り出した。バリッというマジックテープの音が響き渡った。中をのぞくと200円。コインケースの力不足で結局バックから財布を出すはめにになった。全然格好つけれてなかったみたいだ。

帰り道のコンビニで、そんな可哀想な自分にポテトチップスとコーラを買い帰宅。
鍵を開ける右手と、TSUTAYAの下げ袋とコンビニの下げ袋を握りしめる左手。この左手に違和感を感じる。予定より重い。と言うより、予定より多い。荷物が予定より多いのだ。

よく見るとTSUTAYAの下げ袋がやけに目立つ。どっからどう見ても2つあるじゃないか。何と言うことだ、返却しわすれている。私としたことが、返却に行ったはずのものまで大事に持って帰って来ている。暇人な上にただのバカだ。まぁいい、人生こんなこと数えきれない程ある。

そんなことを思い、DVDを観ながら夢へ溶けてゆき私の一日目に幕が落ちる。


二日目。
私は珍しく早起きをした。昨日あんだけお昼寝したのだから当たり前だ。別にちっとも凄くない。
朝から洗濯物を片付けたり慌ただしく動いてみた。25歳のくせに、そんぐらいでどや顔だ。何て単純でお調子者。幸せ者だ。

昼からサロンMARTREへ出掛ける。外で作業していたみーくんを発見し、10メートルぐらい離れたところから大きい声で挨拶してみた。あまりにも大きい声で挨拶したもんだから、隣の店のおばちゃんが出てきてしまった。おばちゃんに会釈をし、MARTREに無事入る。

髪のお手入れをする間も映画の話で持ち切りだ。松田龍平を熱く語り倒している間にお手入れ終了。その後数時間私はMARTREに滞在し、置いてある雑誌を片っ端読破した。星座占いは、どれを当てにしていいのか分からなくなるくらいの数を見た。結局4時間も滞在していたらしく、ミルクティーを2杯も飲んでしまった。それぐらい居心地の良い、私の大好きな場所なのだ。たまにここでお昼寝しちゃうぐらいだから。

MARTREを後に、私は散歩をしてみることにした。
散歩を始めてわずか5分で足はタリーズに向かっていた。ミルクティーを散々飲んだのにまた飲む気だ。

「いらっしゃいませ、店内でお召し上がりですか?」
「はい、ジンジャーミルクティーのアイスをショートで」

結局ここでもまたミルクティーだ。
冬はミルクティーを飲む女の子がいい。私が男なら、そんな子が好きだ。なんて、またくだらないことを考えながらフェローの手元を見て、ミルクティーが出てくるまでの時間を楽しんだ。

喫煙室に入ると有無を言わさず席は決まっていた。THE一名様と言った感じで、嫌でもそこしか私には与えられていなかった。とりあえずそこに座り、一口飲み、周りを見渡した。端の一席だった為、全てを見渡せるそんなポジションだったのだ。人間観察が好きな私には最高の席だった。夜の仕事に行くのか、服装に対して派手に盛り過ぎたヘアスタイルのギャル。楽しそうにはしゃぐ女子会的女の子4人組。買い物袋を下げた主婦。営業マンのようなおじさん。そんなオールジャンルの空間に、際立っていたのは、坊主に近い短髪のおばさん。ケミカルなジーンズをはきこなし、クタクタのブーツがまた格好良くて本当に際立っていた。いい物見た。

それを一時間は見ていただろうか。あっという間に時間は過ぎ、気付けばみんな席を後にしていて、私を残して三人ぐらいになっていた。人間観察に飽きた私は携帯を手に時間を見る。そこで今日が水曜日だったことを知る。あ、お兄ちゃんの休日だ。久し振りに用も無い兄に電話をしてみた。出ないから切ろうかな、と思った瞬間もの凄いテンション低く「はい」。出た、兄が電話に出た。何?と聞かれ、いやただなんとなく〜ってのりで話そうとしたら、「何?あーあれ?休み?それで暇潰しかなんか?」。いや違う、と即答したが、あまりにも図星な兄の問いかけに言葉が出なかった。さすがは兄だ。妹の行動パターンなんて見え見えなのだ。そんな私たちの電話はわずか1分程だった。

私はやはり帰るにはまだ早いと思い、友人と待ち合わせることに。そして一緒に取り置きにしていたワンピースを迎えに行くことにした。このワンピースは入荷前からずっとずっと待っていた大好きなワンピースだった。お店を出た後もワクワクしていた。

そんな私たちに別の友人から着信。「おすすめのDVDは?」とのことだった。数分話した後、一緒にいた友人がDVD借りて帰ろうかな、というものだから、ノリノリでついて行くことにした。すでに5本も借りていた私は、次に借りるものでも決めとこうと真剣に見た。友人もこれという一本を見付け、無事レンタル終了。TSUTAYAを後にし、友人をバス停まで送った。

今日もなんだか緩くも楽しい一日だったな。そんなことを思いながら車を走らせ家路を急いだ。

信号待ちで、何気に助手席に目をやる。
私の顔は一瞬で真っ青になった。

ない。紙袋がない。
ワンピースの入った紙袋がないのだ。
車を端に寄せ、車中探すがどこにもない。

とりあえず、行動を振り返った。
あ、TSUTAYAのトイレだ。絶対そうだ。
即、TSUTAYAへ電話し問い合わせたが「ありません」という店員の返答。

とりあえず、名前と連絡先を伝え電話を切る。
さっきまで一緒に居た友人にも電話する。大失恋した人の様に半泣きでワンピースの悲劇を伝える。友人もまた、大失恋した人を励ます様にオーバーリアクション。流石だ。

私は最低最悪の瞬間だった。こんなことなら今日取り置き取りに行かなかった。よりによってお気に入りすぎる服だ。あーもう最悪。大好きな人に振られるよりも最低だ。こんなことなら振られた方がましだ。あー心の優しくない人に拾われて誰かの手に渡るのだろうか。ワンピースないのにお金だけ払うのか。なんて大げさに自分を責めた。

が、神は見捨てなかった。
TSUTAYAからの折り返し電話。

「警備員のところに届けられていました」

神様!ありがとうございます!
あなたの為なら何でもします!

そんな勢いで車を引き返しTSUTAYAへ向かった。
もう何処にも置かないからね、と両手でワンピースを抱きしめ連れて帰った。

こうして私の休日は慌ただしくもあっさり終わりを迎えた。
TSUTAYAに始まり、TSUTAYAで終わる。

そんな休日が終わった。

とかいって字数多いだけで、特になんもしてないんだけどね。
ただただTSUTAYAに振り回された休日だっただけだ。

1 件のコメント:

hanabiya さんのコメント...

構成がしっかりしてて面白い!