小さな手は、寒い夜が好きだった。大きな手に繋いでもらってポケットに入れてもらえるのが好きだった。ずっと手袋を忘れてしまおうと思った。
小さな手が触れたとき、少しは優しさを与えられていたのだろうか。
支えようと決めた小さな手は、支えることは出来ないまま、塞いではいけなかった小さな隙間を塞いでいた。
小さいなりに当てたつもりが、その小さな隙間には、少し、ほんの少し大きかったようで、窮屈だったんだと思う。
気付いて手を離したのに、気付いたときにはもう遅かったりする。
離したこの手の行き場がまだ分からず、あまり温かくない 自分のポケットにそっとしまい込む。
考えても尽きないけど、こうしてみんな大きくなる。昔よりはきっと一歩前に進めている。
こんな私にも、暗い雨が落ちてきたらそっと傘をさしてくれる人がいる。
この優しさを大切にしよう。
小さいこと程、気付くと大きい。
そんな人に恵まれたことを今日も幸せに思う。
どんなことがあっても私はしっかり前を向いている。芯はぶれない。
それだけが私の唯一の救いだ。
もう弱い心の雨を落としたりもしない。
気付けば、いつの日か強くたくましくなり過ぎた自分がいる。
良いのか悪いのかは分からないが、これも私の大事な一歩。
私の時間は確実に日々進んでいて、まだまだ未知の世界。
ずっと目の前にかざしていた手は、少し臆病に、何かを見えないように覆っていたのかもしれない。
全てを受け止め、全てを見よう。
手で作った三角の奥に見える世界はまだまだ広いことを知っている。
もしもいつか、大切な人に暗い雨が降りかかったら、傘をさしてあげられる様なそんな人になりたいと、そう思う。
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